台湾のエアラインがドラステックな終焉を迎えた。突然の全便運航停止に予約客はなす術もない。
トランスアジアがいきなり会社解散
台湾の民間航空会社トランスアジア・復興航空が、22日午後、記者会見を開いて会社の解散を発表した。同社は1951年に創業した台湾で最も古い民間エアラインだが、1958年から30年間、他のエアラインの代理業務などに特化して、実際の運航を停止していた。国内線に復帰したのは1988で、2011年からは日本へも路線を拡大し、11月の時点では東京/成田、大阪/関西、札幌/新千歳、仙台、函館、旭川の各空港へ就航していた。またやはり9月に運航を停止した小会社のLCC、Vエアーが名古屋/中部、福岡などへ路線を展開していた。
今回の解散は昨年、一昨年と続いた同社の連続事故で、利用者が離れ、回復が出来なかったものと見られている。
同社のサイトでは航空券購入者には払い戻しに応じるとしている。また既に旅行中の利用者には他社便を用意するとしているが、不可能だった場合は払い戻しのみに応じるとしていて、旅行途中で足を奪われる利用者も出そうだ。
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破たんエアライン、こんな無茶も
経営破たんしたエアラインは日本でもJALをはじめとしてエア・ドゥ、スカイマークなどがある。かつて3大エアラインの一角をなしていたJAS(日本エアシステム)もJALに吸収されることで終焉を迎えている。しかしいずれも利用者に不利益を与えることなく会社の消滅、あるいは経営再建へと向かっている。海外では、歴史の浅い中規模エアラインで利用者無視の破たんを迎えるケースがままある。いささか古くなるが、1971年に日本へ乗り入れたタイの新興エアライン、エアサイアムを思い起こす。エアサイアムはタイの王族が経営者であったことから新興エアラインながら人気で、ボーイング747型機などを使ってバンコク~香港~東京~ホノルル~ロサンゼルス路線を展開し、当時としては格安の運賃で日本でも評判となっていた。同社は1977年突然運航を停止、経営破たんした。
その際バンコクやホノルルなどで、他社への振り替えができない格安チケットを持った多くの日本人旅行者が取り残される羽目となった他、エアサイアムの航空券を扱っていた代理店などにも多額の負債を残したまま消えてしまった。