国交省は、燃費の良さとともに静粛性が売り物だったハイブリッド車などに、車らしい騒音を出すことを義務付ける、なんとも皮肉な改正の実施を決めた。
静かすぎるのも危険!?
ハイブリッドや燃料電池車、電気自動車などエンジンをほとんど使わないこれらの車は、目の不自由な人や高齢者などから、エンジン音がなく突然近づいてくるため危険だとの声が上がっている。現実に事故に巻き込まれたケースもある。国交省ではすでに2010年に「ハイブリッド車等の静音性に関する対策」をまとめている。
特に問題とされているのは時速20㎞以下の発進時や後退時で、自動で車の音を出すよう求めた。しかし明らかに歩行者のいない、高速道路での渋滞区間などでは音は不要なため、今は音を消すスイッチも設けられている。
新たな保安基準は、2018年3月以降の新型車に適用され、音を消すスイッチは設けず、必ず走行音が出るように義務付けられる。さらにスピードとともに音量もあがり、お音質も鮮明となる。出される音はこれまで通り、ホーンやミュージック、動物の鳴き声などは認めず、あくまでも自動車の接近を想定できるものとしている。
クローズアップ雑学
「やはり静かな方がうれしい」とフクロウ
自動車などの交通騒音が、聴力を頼りに餌を見つけるフクロウ類の行動を妨げていることが世界で初めて明らかになった。これは北海道大学と国立研究開発法人森林総合研究所それにカリフォルニア・ポリテクニック州立大学の共同研究で分かったもの。それによると静かな住宅地に相当する40デシベルの騒音化ではフクロウが獲物を見つける能力が17%も低下していた。さらに電車内の騒音に匹敵する80デシベルの環境下では、89%も能力ダウンで餌を見つけ難くなっていた。エリアは道路から120mまでの範囲で採食能力が低下すると推測された。
ハイブリッド車も高速になると、タイヤから発する走行音が高くなるが、フクロウにとっては少しでも音の低い方が有難いようだ。