先月、東京メトロ青山一丁目駅で、目の不自由な男性がホームから転落、電車にはねられて亡くなった事故で、日本盲人会連合は「危ない駅」のアンケート結果を発表した。
首都圏で危険を感じる駅は55駅
同じく盲人会連合が今年2月に実施したアンケートでは、「ホームから転落しそうになった」経験がある人は252名のうちの151名とおよそ6割にもなっている。また実際に転落した人は92名と4割にも上った。これら転落した人に原因を訪ねると、「方向が分からなかった」との回答が最も多く、次に「点字ブロックが分からなかった」が続いている。その理由として「人とぶつかった際に方向が分からなくなった」さらに「騒音で音が聞き取れず方向が分からなくなった」などの声が寄せられた。
ひやっとしたものの転落せずに済んだ人は「体や腕をつかまれ止められた」や「周りから声をかけられ事なきを得た」が合わせて120名になっている。
事故を未然に防ぐために望むことは、ホームドアの設置と駅員の配置で、ホームドアの設置は6割の人が望んでいる。視覚障害を持った人たちのホーム上のストレスが少しでも和らぐためにホームドアの早期整備が望まれる。歩きスマホの禁止や健常者の目配り、気配りも忘れてはいけない。
クローズアップ雑学
日本で最初のホームドアは熱海
日本で初めてのホームドアは、東海道新幹線の熱海駅で1974年に設置された。熱海は沢山の新幹線が高速で通過するが、用地が狭く、他の新幹線駅のように通過のためだけの線路を設けることが出来なかった。このため当初からホームに簡単な柵が設けられていたが、新幹線のスピードが上がるとともに、ダイヤも過密になってきて、ホームで列車を待つ人たちの安全を確保するため可動式のホーム柵が設けられた。
国土交通省によると全国の鉄道でホームドアを設置しているのは665か所(2016年3月)この10年で倍になっている。
JRのように形式の異なる車両が同じ線を走ると、列車の扉の位置や幅も違って、ホームドア設置の問題点にもなっている。JR東日本はこのほど低コストで工期も短い新たなホームドアを開発、横浜線の町田駅ホームに設置して試験を始めた。
また東京メトロでは、ホームドアと合わせて、JR飯田橋駅のように、ホームと車両のギャップが大きな所では、これをうめるステップ板がホームからせり出す装置も試験中だ。