災害時の救急輸送や、医師や看護師の現地への緊急搬送に最適な、小型飛行機のデモンストレーションが北海道で行われている。これは一般社団法人の日本エアレスキュー促進協議会などが行っているもので、スイス製の小型機ピラタスPC-6 を持ち込んで、医療関係者や自治体などへアピールを行っている。災害救助では、空き地があればどこへでも離着陸できるヘリコプターが主流だが、地文航法と呼ばれる、地上を見ての操縦が基本で、夜の運航ができないなどの制限がある。一方、PC-6 は夜間飛行はもちろん、ヘリが飛べない悪天候でも飛ぶことが出来る。またスピードも速く、ヘリの数倍の1トン余りの物資を運ぶことが可能だ。
スイスの山岳地帯など、条件の悪いところでも離発着できるPC-6 は、デモンストレーション飛行でも200mも滑走せずに軽々と離陸し、参加者を驚かせた。
南海トラフなど今後も大きな災害の発生が心配されるが、災害への強靭化のためにも各地への配備が必要との声も上がっている。
クローズアップ雑学
空飛ぶ手術室も
医療用航空機というと、全国各地で活躍するドクターヘリが思い浮かぶ。このヘリは医療設備を備え、ドクターが同乗して、治療を続けながら患者を搬送するものだが、上には上があって病院設備をそっくり備えた大型ジェット機の空飛ぶ眼科病院もある。
世界にネットを組む非営利団体のオービスインタナショナルが運航する FLYNG EYE HOSPITALだ。特に発展途上国で依然として多い眼科疾患での失明を防ごうと世界各地へフライト出来る大型ジェットのDC-10 を丸ごと改造した。手術室はもちろん、検査機器や眼科医のブラッシュアップのための講義室なども備えていて、パイロットもボランティアが交代で運航にあたっている。この6月まで使っていた機体はDC-10の量産2号機でデビュー45年目の骨とう品だったが、このほど3代目の機体に替わったとか。