開業して一か月が過ぎた北海道新幹線。高速で走る新幹線に小動物がはねられ、列車が緊急停車する事態が相次いでいる。4月23日には知内(しりうち)町を走行していた東京行きの「はやぶさ38号」の運転士が、異音を感じ緊急ブレーキをかけ停車した。また5月2日には、新函館北斗へ向かっていた「はやぶさ29号」が同じく異音で緊急停止するトラブルがあった。どちらも線路内に入った小動物が接触したもので、2日のトラブルはタヌキがはねられたものと分かった。
北海道では列車と鹿が衝突するケースもあるが、鹿のように大型の動物では列車にもダメージが予想される。新幹線はこれらの動物が侵入しないように防護柵が張られており、鹿などの動物は入れないが、タヌキは穴を掘って侵入した跡があるという。
数分に一本の列車がやって来る過密ダイヤの東海道新幹線では、小動物との接触はまれとのことだが、それ以外の新幹線では何度か発生していてJR各社は対策に苦慮している。
ZATSUGAKU POINT
バード・ストライク
新幹線VSタヌキなら、勝ち目は新幹線にあるが、航空機のエンジンに鳥が飛び込むバード・ストライクは飛行機の安全を脅かす。ジェットエンジンメーカーは鳥との衝突を想定して、稼働中のエンジンの中に大型の鳥を模した塊を打ち込むテストを繰り返し、安全性を高めている。それでも危険はやって来る。「ハドソン川の奇跡」を覚えている方もいるだろう。
2009年1月、ニューヨークのラガーディア空港を離陸したばかりの旅客機が鳥の群れに突っ込み、両方のエンジンが停まる事態が発生した。沈着冷静な機長が飛行機をハドソン川に無事着水させ、一人の犠牲者も出さなかった。
新幹線もハイテクが進んでいるだけに、動物との接触が、これまでは想定しなかったシステムのトラブルなど意外な事態を生みかねない。対策が望まれる。