日本でも実は増えている、飛行機内での乗客同士のいさかいに端を発したもめごと。このほどアメリカ科学アカデミーの機関誌PNASに、ファーストクラスなど、サービスの差別化を図った機内でのトラブルは、モノクラスの飛行機に比べ何倍もなるとの研究結果が発表された。
機内が、ファーストクラスとエコノミークラスに分かれている場合、エコノミークラスの乗客が起こすトラブルは、ファーストのないエコノミークラスだけの便の3.84倍にも達していた。発表したカナダ・トロント大学の准教授は「不平等感が行動に繋がっている」と分析する。
一方ファーストクラスの乗客には問題がないかと言うとそうでもない。乗降口が前方一か所のみで、エコノミークラスの乗客がファーストクラスを通って搭乗するタイプの飛行機と、乗降口が複数あって、エコノミークラスの乗客がファーストクラスを通過しないで搭乗するタイプとでは、ファーストの乗客の優越感に差が出るらしく、後者のタイプに比べ前者のタイプでは、ファーストクラスの乗客が起こすトラブルがなんと12倍にもなっている。同じく准教授は「自分の優越的な地位を意識すると、高慢な態度になり、思いやりが薄れる傾向にある」としている。
ZATSUGAKU POINT
格差は拡大方向へ
国際線ではファーストやビジネスクラスとエコノミークラスの間では格差が広がる傾向にある。二階建てで、スペースに余裕のあるエアバス380では、ファーストの上を行くスィートクラスが登場し、完全個室まで実現している。
日本のエアラインでも、競争の激しい国際線ではファーストやビジネスのサービスは向上して、エコノミーとの格差は広がっている。床面積でみると、およそ三分の二を占めているファーストとビジネスクラスクラスの定員80席弱に対して、残り三分の一の面積のエコノミーは130席を超える(ボーイング777-200の一部便を参考)。どのエアラインも似たり寄ったりで、エコノミーのぎゅうぎゅう詰めに対してアッパークラスは余裕の旅だ。格差によるもめごとを回避するなら、サービス格差の少ないLCCを使うのが手か。