パナマ文書が世界に衝撃を与えている。各国の要人の名前が挙がったり、日本企業の関わりが取りざたされたりもしている。しかし実は何が問題なのか、違法な行為が行われているのか。ニュースを見ても釈然としない。
いま明らかとなっているパナマ文書だけでは、個人的な関わりが分かるだけだ。タックスヘイブンの国や地域では、そこで活動する企業の動きは全く不透明で、違法性があるのか、資金はブラックマネーなのかどうかも分からない。
ではなぜ、それらの企業に投資したアイスランドの首相が辞意を表明しなければならないのか。
政治家である以上、守るべきは「税の公平」。不透明な企業への投資や関わりは、課税逃れと見られるのは当然で、道義的責任は免れない。
今回明らかにされつつある、パナマの法律事務所の内部文書は38年分にも及んでいる。日本を含む80か国、およそ100の報道機関が分析を進めていて、今後捜査に発展する不正な取引も出てくる可能性は否定できない。戦々恐々としている要人や企業は少なからずありそうだ。
ZATSUGAKU POINT
タックスヘイブン
「税金天国」と誤って理解されがちだが、天国を意味するHEAVENではなく、回避地や港を指すHAVENだ。租税回避地と訳される。海外からの進出企業に対する税金をゼロか極めて低くして優遇しているのでこう呼ばれる。
パナマやカリブ海の英国領バージン諸島やケイマン諸島など資源を持たない国が多く、タックスヘイブンを梃子に海外からの資金を取り込んでいる。しかしあまりにも不透明なだけに、犯罪やテロの資金元となる危険性すらはらんでいる。