紅の翼 (The High and The Mighty)

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監督:ウィリアムAウェルマン     主演:ジョン・ウエイン

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西部劇のヒーローとして思い浮かぶジョン・ウェインだが、意外にも航空関係の映画にも縁が深く、154本もの映画に出演しているが、この「紅の翼」を始め「ジェットパイロット」など5本が飛行機がテーマの映画だ。

1979年に亡くなったジョン・ウェインが主役だけに「紅の翼」も超いにしえの作品で、日本での公開も1954年9月と60年以上前の作品だ。

 

ジョン・ウェインの役どころは、かつて自らが操縦していた旅客機の事故で、たった一人生還した男で、その事故で客として乗っていた妻と幼い息子も失った、過去あるパイロットとして登場する。事故の所為でキャリアは十分だが、副操縦士として自分より若い機長を補佐する。

トランス・オリエント・パシフィック航空(もちろん架空のエアラインだが、長い名前をつけたものだ)の420便、飛行機はDC-4で、乗員乗客22名を乗せてハワイのホノルルからサンフランシスコへのフライトだ。今ならこの区間をジェットで5時間半ほどで飛ぶが、作品中飛行士が所要時間を12時間16分と語っている。4つのエンジンを持つとはいえ、プロペラ機は今の倍以上の所要時間をかけて飛んでいた。

離陸後嵐に遭遇し、その中でエンジン一基が火災を起こし、十分な推力を失ってしまう。サンフランシスコまでは燃料が持たない。機長は嵐の海への着水を決断するが、ジョン・ウェイン演じるベテラン副操縦士のダンは、何とかサンフランシスコまで燃料を持たそうと、乗客の荷物を機外に捨て機体を軽くしようと試みる。

航空パニックものの元祖とも言える作品だが、嵐の中を飛んでいるのだが、ほとんど揺れがないので今一つ緊張感がない。ジェットと違って低い高度を飛ぶプロペラ機なので、扉を開けても機内の空気が吸い出されることは無いものの、外気温度はかなり低いはずだが、ドレスに身を包んだ女性客が、結構な余裕で自分のスーツケースなどを機外へ放り出す。

ストーリーは、嵐を飛ぶ飛行機の中で、乗客それぞれの人間ドラマが展開するグランドホテルタイプだが、時折コメディタッチが顔をだして、パニック物のタイトルを忘れてしまいそうになる。

クルーが、機長をキャプテンと呼ばずに、軍の航空隊のチーフを表すスキッパーと呼んでいる。制作が戦後間もないためだろうか。420便は嵐海に着水するのか、何とかサンフランシスコへたどり着くのか。DVDを借りてご覧いただきたい。なお石原裕次郎主演で同名の作品がある。

現場臨場

ホノルル国際空港(アメリカ・ハワイ州)

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この映画が撮られた頃は、まだ50番目の州ではなく、準州だったからか、サンフランシスコへのアメリカ人旅客へも出国手続が呼びかけられる。さらにチェックインでは年齢と出身州の申告もなされている。

 

札幌(新千歳)、東京(羽田・成田)、名古屋(中部)、大阪(関西)、福岡の各空港から日米様々なエアラインが直行便あり。

 

ダグラスDC-4

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DC-4の機内

当時ダグラス社(現ボーイング)が製造していた4発プロペラエンジンの旅客機。軍用機のC-54 として1000を超える機体が製造されたが戦争後、旅客機へ改造された機体も多く、一時期、日本航空も飛ばしていた。

ひとつ前のDC-3は往年の名機として知られ、カナダなどで今も乗ることが可能だが、DC-4は現在では実機は貨物機として残っているかどうかで、旅客として乗ることは叶わない。