0-8滑走路(Runway 08)
|アーサー・ヘイリー、ジョン・キャッスル ハヤカワ文庫
航空パニックものに初めて接したのがこの「0-8滑走路」だ。初版が出た1973年に自由が丘の三省堂書店で購入している。あらすじはカナダのウィニペグからバンクーバーへ向かう旅客機の中で食中毒が発生し、機長も副操縦士も重篤な状態に陥り操縦するものがいなくなってしまう。13年前まで戦闘機に乗っていた乗客のジョージ・スペンサーが2人に代わって、無線でのアドバイスを頼りに大型旅客機(思い描いているのはDC-7らしい)を操縦し、着陸に挑む。
中毒の原因となった機内食は鮭のグリルかラム(仔羊)チャップのセレクトだったが、このうち鮭を選んだ人たちが中毒になる。パイロットは2人とも鮭を選ぶのだが、現在のエアラインでは正副操縦士は万が一を避けるため、必ず異なるメニューを選ぶことになっている。
清水政二さんの訳も楽しくて、ランカシャーなまりの訳は関西弁で表現されていて「ホンマにぎょうさん仕事があって」などのセリフが出てくる。
2004年に亡くなったアーサー・ヘイリーは、本書の10年後、1968年にあの「大空港」を上梓するが、共著のジョン・キャッスルに関する資料はあまり見当たらない。ナチスとの闘いを描いた映画「合言葉は勇気」の作者なのだが、「亜音速漂流」など、航空小説のベストセラー作家トマス・ブロックその人なのだ。との記述に出会ったが、確認できていない。

現場臨場 バンクーバー国際空港
物語の後半はバンクーバー空港とジョージの操縦する飛行機のやり取りが中心となる。地上からのアドバイスで大型機を嵐のバンクーバー空港へ導くさまは、本とはいえ興奮する。現場臨場のバンクーバー空港は、3本の滑走路を持つカナダではトロントに次ぐ大空港で、大型飛行機が頻繁に離発着を繰り返すが、小型機での近隣への旅も面白い。ブリティッシュコロンビア州の州都ビクトリアなどへのフライトがお勧め。また大空港では唯一水上機ターミナルがあり、近隣への水上機での定期航空路線もある。
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