アビエイター (Aviator)

主演:レオナルド・ディカプリオ

監督:マーティン・スコセッシ

DVD

ハリウッドでの活躍

筆者としては本来の発音通りにエイビエイターと呼びたいが、映画でも一般に呼ばれているようアビエイターと呼ぶことにする。ご存知飛行家、ハワード・ヒューズ(ハワード・ロバート・ヒューズ・ジュニア1905~1976年)の物語だ。Hヒューズは1905年テキサスの、石油採掘に関わる掘削機器を扱う、たいへん裕福な家庭に生まれた。大の飛行機好きな彼は、その財力を持ってハリウッドの映画製作に乗り出し、第一次世界大戦の空戦映画「地獄の天使(Hell’s Angel)」(1930年公開)を作り上げた。ハワードは、特に空中戦のシーンには大変なこだわりを見せ、実際の飛行機(複葉機)を80機以上も揃え、カメラも26台では足りず、別の映画会社から借り入れようとし断られる。

恐ろしいほどのフィルムを費やし、ようやく完成させた作品のプレミア試写会の場で、ちょうどその時、技術の進歩で世に出てきたトーキー(映像と音を同時に出せる映画、それ以前は無声映画で、弁士と呼ばれる説明者がいた)を使って撮りなおそうと言い出す。妥協を知らない無茶振りは、映画製作だけでなく、飛行機作りのシーンでも度々描かれる。

ハワード・ヒューズ

飛行家のこだわり

彼はヒューズ・エアクラフトというメーカーを立ち上げる。映画では、彼が制作に関わった2つの飛行機が登場する。一つは高速偵察機XF-11、空気抵抗を極力避けるために、リベットの頭を平らにカットして、機体からごつごつとしたリベットが飛び出さないように、設計者に言明するシーンがある。小声でブツブツと要求を何度も繰り返すハワードのパラノイア状態が描かれ、ぞくっとする。タイトル通り、飛行機に関わるエピソードは幾度となく登場する。XF-11はハワード自らが操縦桿を握りテスト飛行をするが、機体の不具合からビバリーヒルズの住宅地に不時着し重傷を負う。更に軍用輸送機とするべく開発した超大型飛行艇H-4ハーキュリーズの開発も登場し、こちらもハワード自身が操縦した、たった一度のテスト飛行も描かれる。

TWAのコンステレーション機

ハワードはエアラインも手にいれた。TWA(トランスワールド航空)がそれだ。トランス・コンチネンタル・アンドウエスタン航空を買収しTWAとした。国際線を一手に押さえようとしていたPANAM(パンナム)とそのロビー政治家を抑え、ハワードは新型機ロッキード・コンステレーションを大量発注し、ヨーロッパ線を開設する。

映画はこれに加え、多くの女優との恋愛、特にキャサリン・ペップバーンとの時が長く描かれる。ハワードはキャサリンを誘い夜間飛行に出て、何の経験もない彼女に操縦を任せる。本当にあったエピソードだったのだろうか?キャサリン・ヘップバーンはアメリカで最も尊敬を集めた女優だったが、彼女を演じているのはケイト・ブランシェット。本人の方が美人。

残ったのはH・ヒューズの夢

全米一、いや世界一を競ったパンナムもTWAも消えてしまった。TWAはアメリカン航空に買収されてしまった。世界で最も経験のある航空会社として暖簾を誇ったパンナムは、ユナイテッド航空や他の航空会社に路線を売って、跡形もなく消えてしまった。なおTWAのマイレージサービスの名称はAviatorだった。

「アビエイター」、映画としては何故かあまり記憶に残っていない・・・。

現場臨場

ハリウッド

映画産業華やかなりし頃のハリウッドが登場する。紹介するまでもないが、ロサンゼルスへ東京(羽田、成田)大阪(関西)より直行便多数。東京からはTWAの流れをくむアメリカン航空の直行便もあり。

エバーグリーン航空博物館のH4ハーキュリーズ

オレゴン州マクミンビル

町が映画に登場する訳ではない。ハワードの作ったH4ハーキュリーズが、たった一度のフライトの後、この町のエバーグリーン航空博物館に納められている。

人口3万人ほどのマクミンビルは、オレゴンの州都ポートランドから南へ65㎞。ポートランドへは成田国際空港からデルタ航空が毎日飛んでいる。

 

なおマクミンビルは古い航空ファンならご存知、日本へもジャンボの貨物機を飛ばして、新千歳空港などではお馴染みだったエバーグリーン・インターナショナル航空の本社があった所で、航空博物館の名称もそこから来ている。また博物館の隣にインドアプールのアミューズメント施設があって、その建物の上にエバーグリーン社の747が載っている。それだけにマクミンビルには747も発着可能な空港(市営)がるが残念ながら定期便はない。

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